拡大が続くアメリカ経済で一部の消費者のローン延滞率は上昇

投資まとめ

いまやアメリカの景気後退を予想する人は少数派になりました。

2023年で予想以上にアメリカ経済が成長したことで不安材料が払拭されつつあるのは、私も感じます。

しかし、まだ安心するには早いと思います。数日前に発表されたローンの延滞率のデータを一通り眺めましたが、やはりやりくりが難しくなっている世帯が一部の世帯で増えているように思います。

この記事のポイント

  • アメリカの景気後退を予想する人はもはや少数派になっている。経済指標でアメリカの好調さを示すものもある。
  • しかし、それでも2022年からの利上げは経済の一部に暗い影を落としている。
  • 中小規模の銀行のデータでは、消費者のクレジットカードローンの延滞率が過去数十年見なかった水準にまで上がっている。

アメリカの景気後退の予想が後退

2月後半の現時点でアメリカの景気後退を心配する声は、ほとんど聞かれません。以前はアメリカの景気後退を予想していた人々も白旗を上げている動きが見られます。

>>米リセッション確率が低下、成長率予想は引き上げ-エコノミスト調査

私はアメリカの景気後退入りの可能性をまだ捨ててはいないですが、現段階で上がってきているデータを見る限りはアメリカ経済に死角はほとんどみられないでしょう。

少し具体例をあげてみます。

予想されている経済成長率(下図)は依然として高く、レイオフのニュースこそ多いものの失業率はまだかなり低い状態が続いています。

長い間、低迷していた製造業の景気も最悪期は抜けたようにも見えます。製造業の景気の強さを示すISM製造業指数(以下グラフ)も上向きになりつつあります。

2年近く景気後退のシグナルを発信し続けてきたアメリカ景気先行指数も、もはや景気後退シグナルを送っていない模様です。

>>アメリカ景気先行指数は1月も不調だが、景気後退シグナルは消えた

アメリカ経済の死角

とはいえ、2022年からあれだけ急激に利上げをしたのに、何も影響がなくインフレだけ収まるというのは信じられません。

政策金利引き上げの影響はかなり遅れてやってくるのが通常の動きなのですが、いつ頃から顔を覗かせるかは問題です。

以下のグラフは数日前に発表された銀行から貸し出されたローンの延滞率ですが、最新の2023年第4四半期でも延滞率はほとんど上昇せずに低水準を保っています。

しかし、内訳を見てみると問題がないわけではありません。

銀行の規模を全米100位よりも下に位置する中小規模の銀行にしぼって、クレジットカードローンの延滞率を調べてみると、こちらは急上昇しています。

上のグラフの通り、クレジットカードの支払いが遅れているユーザの割合は過去数十年間見なかったほど上昇しています。

(※ちなみに大規模な銀行のクレジットカード支払いの遅延率は、まだコロナ前をやや超える程度にしか上がっていないので、消費者の中でも苦しい世帯と余裕のある世帯で2極化しているものと思われます。)

こうしてみると、アメリカの経済は盤石でないことが再認識されます。

アメリカ経済の全体を見渡すと、低所得な消費者と地銀がやや不安材料を抱えているように見えるので、この2つは今後も要チェックの対象になると思われます。

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Source: YUTAの米国株投資
拡大が続くアメリカ経済で一部の消費者のローン延滞率は上昇

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