不思議なほど強いアメリカの非農業部門雇用者数

投資まとめ

今晩から明日にかけて、アメリカの雇用に関する重要な経済指標がいくつか発表されます。

今はそれらの発表を待っている投資家も多いのか、今週は比較的動きの少ない静かな市場が続いている印象です。つまり、ひまです。

何か動きが見られる前に、少しだけ気になっていることについて書いておこうと思います。

この記事のポイント

  • アメリカの雇用統計で発表される非農業部門雇用者数の数字が非常に良い傾向が続いている。
  • しかし、他の雇用の数字を見ると非農業部門ほど強くないので、他の指標も合わせて雇用を見る必要がありそう。

アメリカの雇用の強さ

気になっているのはやはりアメリカの雇用の強さです。

アメリカの雇用統計には非農業部門雇用者数(農業部門を除く雇用者の増加数)の発表があるのですが、近年この数字が本当に強いのです。

前回まででエコノミストたちの事前の予想値を13ヶ月連続で上回っています。過去2年間でも18ヶ月で予想を上回って、この間に予想よりも260万件も多い雇用者の伸びを記録しているようです。

ただし、本当にこれほど強いのかは、少し疑問の余地もあります。

非農業部門雇用者数だけが強い

アメリカの雇用統計は、企業に調査をする「事業所調査」と世帯を調査する「家計調査」の2つの種類があります。

非農業部門雇用者数は「事業所調査」で調べるのですが、家計調査でも似たような雇用されている人口を調べており、それらでは伸びが止まっているように見えるのです。

この動きは4月と5月に伸びが加速した非農業部門雇用者数(事業所調査)の結果とは異なります。

また、S&Pグローバルが月に1回まとめているレポートを見ると、1月から5月までのアメリカの破産件数は2010年以来のペースで増えているようなのです(下図)。

2023年はサービス業が好調な一方で製造業は不調というように業界によって好不調の差が大きいので、製造業が破産していてもサービス業が大きな雇用を生み出してるのかも知れません。

なので、非農業部門雇用者数の数字が間違っているというつもりはありませんが、景気の良い事業者への調査の割合が大きいのか、季節調整に何かカラクリがあるのか、最近の非農業部門雇用者数は雇用の実態以上に好調な数字を出してしまっている可能性もありそうです。。

FOMCの議事録から

また、FRBの高官の中にも非農業部門雇用者数の好調さに疑問を持っている人がいるようです。昨晩公開されたFOMCの議事録の中にも、次のような一文がありました。

FOMCの一部の参加者は、非農業部門雇用者数の伸びが堅調であることを認めつつも、「家計調査」や「四半期ごとの雇用・賃金調査」、「民間雇用の指標」を見ていると、非農業部門雇用者数が示すよりも雇用の伸びが弱い恐れがあるとコメントした。

今までの傾向からすると、明日発表の非農業部門雇用者数も予想を上回る強い数字が出てくる可能性が十分にあります。しかし、1つの数字だけで判断しないで様々なデータをあわせて見比べて雇用の強さを確認する必要がありそうです。

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Source: YUTAの米国株投資
不思議なほど強いアメリカの非農業部門雇用者数

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