ゆうパパ氏の著書「『ほったらかし投資FIRE』手間なく7年で早期リタイアする「米国株」高配当再投資法」の書評再掲

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【本当に高配当株の方が出口戦略は簡単か?】

たびたび、高配当株の方がインデックス投資より出口戦略が簡単だという意見があります。

最近では、ゆうパパ氏の著書「『ほったらかし投資FIRE』手間なく7年で早期リタイアする「米国株」高配当再投資法」の中でも、そういった主張がされていました。

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今回は論点がずれるためとりあげませんが、同記事でのインデックス投資との比較では、よくある的外れな意見、批判もありました。

(例)「インデックス投資は時間がかかる(配当戦略も一緒)」「インデックス投資は今を楽しめないが、配当投資は今も楽しめる」

(いやインデックス投資も今を楽しめる。今楽しみたいなら単純にその分を「現金」で使って、投資に回すお金を調整すればよいだけ。今使う分と将来の分、投資に回す分を普通に調整すればいい。再投資するなら、一旦全部手元に払い出される配当をかませることで逆に非効率になる点も考慮すべきだろう)

ここら辺に関しては、以前意見を書いたので今回は割愛します。

どうしてもインカムが欲しいのであれば、ETFなどを使えばインデックス投資でも普通に分配金は得られますしね。

さて、話を本筋に戻しますが、

この「インデックス投資は出口戦略難しい、配当は簡単論」の主張の主なポイントとしては、

①今まで給与の範囲で暮らしてきたように、配当金の範囲で暮せば良い。

②インデックス投資の一般的な出口戦略である「定率法」のように取り崩し率や、取り崩し額、多く取り崩した時は来年に備えるといったことを考える必要がない。

③配当金ももちろん変動しますが、資産額ほどの変動はない。

④バリュー株への偏りがあるだけに、リスクも相対的に抑えられている。
【イメージ】

※イメージとしてはこんな感じです。

〇インデックス投資⇒入口が簡単で、出口が難しい。

〇高配当株投資⇒入口が難しく(銘柄選択等)、出口が簡単。

個人的には、この意見には割と異論があります。

※注意

私は元々個別株投資をしており、特にバリュー投資を好んでいましたから、よく高配当株と言われる、大型優良企業にも好んで投資をしていました(必ずしもインカムを狙ってというわけではありませんが)。

また、シーゲル教授の「株式投資の未来」なども愛読しておりますし、配当株が好きな方の気持ちもよくわかります。

インカムや高配当株投資を好きな方を否定するという意図はなく、「(インデックス投資よりも)「出口が簡単」という意見に対して異論があるということでご理解して頂ければ幸いです。

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【私見】

①「今まで給与の範囲で暮らしてきたように、配当金の範囲で暮せば良い」

まずはこの意見からいきましょう。

もちろん、効率と合理性のみを考えるのであれば、分配金の出ないインデックスファンドを必要な分だけ売るのがより合理的だと思いますが、(今の場合は「配当金の範囲に相当する額」だけ売る)

たとえ、「いや売るのは嫌だ、インカムが欲しい」という方であっても、VTやVTIの分配金を用いればよいのではないかとも思います。

あるいはVYMなどの高配当FTEを用いても良いでしょう。

そうすれば、銘柄選択やポートフォリオ管理の手間やリスクを減らしつつ、インカムを得ることができます。

また、現在の分配金利回りばかりをみて、分配金利回りが少ないと言う方も一定数いますが、

過去記事に書いたとおり、通常であれば、将来分配金は増えていくことが期待できます。「VTやVOOやVTIは最高の高配当銘柄である。S&P500から高配当株への乗り換えは正解か?

今投資したVOOやVTの分配金利回りは30年後に7~8%以上になっている可能性は十分あります。

VTIの過去の分配金の推移(四捨五入)
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VTIが設定され、2001年の分配金を出したのは第2Qからなので、2002年を例に考えてみます。

2002年のVTIの分配金は0.63ドル株価はだいたい40~50ドルの間くらいでした。

2002年に、仮に45ドルでVTIに投資をしたとしたら、0.63ドル÷45ドル×100=1.4%

その当時の分配金利回りは1.4%となりました。

【VTIの分配金利回りは5%を超える】

そして、VTIをそのまま2020年まで保有していたとします。

2020年の分配金は2.27ドル。2.27ドル÷45ドル×100=5.04%

年々分配金が増える事により、2002年にVTIに45ドルで投資をした人にとって、2021年の分配金利回りは約5%になっています。

私が一括投資の方が好きな理由の一つがこの辺にもあります。

今後も必ずこうなるとは言えませんが、投資期間が長くなれば、自分が手にする実際の分配金利回りがより高くなる可能性があります。

バフェット氏のコカ・コーラのお話などが有名かと思います。

長期投資した後の出口という話ですから、VTI等の投資額に対する分配金利回りは、それ相応に増えていることと思われます。

①の意見については、「もし、ファンドを売りたくない、配当が必要」という方であっても、

VTIやVTを用いて分配金を得るという手段もあるので、ETFでも配当株でもどっちでもいい。むしろインデックス(ETF)の方が簡単かつリスクが低いのではないか。というのが私の意見です。

また、裏を返せば、高配当株はいくら配当を出すか、いくら分利確するかの権利を企業に握られているとも言え、自分でコントロールできないという視点は忘れられがちです。

②インデックス投資の一般的な出口戦略である「定率法」のように取り崩し率や、取り崩し額、多く取り崩した時は来年に備えるといったことを考える必要がない。

ここが①~④の中で一番ひっかかりました(笑)

「高配当株は出口が簡単」という主張の一般的なイメージから、『高配当株投資⇒入口が難しく(銘柄選択等)、出口が簡単』と書きましたが、

高配当株の銘柄選択やポートフォリオ管理の手間は極端な話一生続きます。

例えば、過去記事に書いた通り、米上場企業の寿命は短く、10年で約半数の企業が市場から消えていきます。

1950年から2009年までの間、米国株式市場では、2万8853社が上場しましたが、2009年までに2万2469社、約78%の企業が市場から何らかの理由で姿を消しました

また、その確率は企業の年齢や規模に関係なく、大企業や歴史的な企業であっても変わりません。

つまり、大型優良企業と言えど、10年後、20年後、安心することは全くできないわけです。

また、例えば、ファイザーは一度配当を減配し、配当貴族指数から外されたことがあります。

このような時、配当株投資家は、売るか持ち続けるかで頭を悩ませるでしょう。

リーマンショックの時はバンクオブアメリカなどの銀行株が配当を停止しました。

しかし、その後のリターンはというと、バンクオブアメリカ年率10.1%。USバンクスコープ年率11.7%(配当が停止された月から2022年7月まで)と低金利でグロース株が市場を牽引する中、十分なリターンを投資家にもたらしました。

このように、長期投資をしていれば、保有している企業に何か起こるのは当たり前のことです。

かつて偉大な大企業や絶対安全と言われていた高配当株がダメになった例は枚挙にいとまがありません。

個別株投資は考えることが多い。配当狙いでも

また、ある銘柄が急成長し、PFのなかで大きな比率を占めるようになった時、それを調整するか同課など、PF全体でのバランス、リスク管理なども必要になります。

配当を再投資したり、追加で投資する際、どの企業に投資するかで、毎月、毎年考えることになるでしょう。

それを、年を取り、判断力や分析力が衰えていく中でも、

あるいは投資に手間をかけず、人生の限りある時間を有意義に過ごしたいと考える中であっても、

個別企業に投資をしているのであれば、企業を見続け、投資判断をし続ける必要があります。

もちろん、銘柄を分散すればリスクは減りますが、なら投資信託やETFでよいでしょうし、その方が簡単です。

インデックス投資家でも考えることはたくさんありますが、高配当株投資の方がより考えることが多く難しいというのが私の考えです。

逆に、高配当株投資に限らず、「インデックス投資よりも、個別株投資を簡単」という人は、超天才か、超強運か、(市場が良かった時期がつづいたため)個別株投資を少し甘く見ているか、

あるいは、インデックス投資を仮想敵に見立てて話題を作り情報を発信することで儲けたい人か。そのいずれかの可能性が高い。という仮説をここに提唱します(笑)。

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③配当金ももちろん変動しますが、資産額ほどの変動はない。

これには全く異論はありません。過去のデータでも、配当額の方が株価よりも安定しているという研究はいくつもあります。

④バリュー株への偏りがあるだけに、リスクも相対的に抑えられている。

これは、言わんとしていることもわかりますし、気持ち的にもわかりますが、

理論的には、基本的にはバリュー株に絞らず、より幅広い銘柄に分散した方がリスクは抑えられる可能性が高いとされています。

確かにバリュー株の方がリスクが低い時期もありますが、つい最近までナスダックの方が「S&P500よりも高リターンで低リスク」でした。

このようにグロース株の方がリスクが低い時期、あるいは両方を組み合わせることでリスクが抑えられる時期もありました。

【補足】

インデックスファンドに売ることに抵抗云々に関しては、決して全員に当てはまらないと思います。

上昇相場でも下落相場でも、実際にインデックス投資をやめる人が一定数いること(売っている)からもある意味でその簡単さが伺えます(笑)

証券会社の定期売却サービスを利用する事、そもそも無理に売らなくてもいいことなどいろいろありますが、別記事に書いてあるので割愛します。

私自身は個別株投資をしている際は普通に売買していましたし、どうせお金なんだから、必要な時、使う時は普通に売る派です。

今はオルカンがありますが、昔のインデックス投資家は年に1度のリバランスが基本だったのでノーセルリバランスで対応できない時は、売って調整が基本でしたし、

インデックス投資家がインデックスファンドを売る時に苦しむというのは幻想で、インデックス投資特有の問題ではなく、配当や個別株投資家「同様に」人によるが正解だと思います。

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【まとめ】

上記は個人的な意見や見解ですが、一応、理論や理屈、過去の事例などに沿って合理的に考えたつもりです。

イメージでまとめると、

〇インデックス投資を入口が簡単で、出口が難しい。

とするのであれば、

〇高配当株投資を入口はインデックス投資より難しく、途中もより難しく、出口もより難しい。

というのがより実情に近いのではないかなと思います。

「いや、高配当株投資は簡単」だという方は、きっと素晴らしいスキルがあり、投資と向き合うのを苦にしない方か、やはり幸運で、そういう場面に今まで出くわすことがあまりなかった方なのかなとも思います。

でも、そういう方であっても、出口にスキルが落ちたり、運が落ちたり、初めて企業のトラブルに出くわすなんて可能性はざらにあるわけですから、ままならないものです。

個人の感想なので、インデックス投資が簡単だ、あるいは難しいと感じる方がいても全然良いと思います。

ただ、インデックス投資と比較した時、本当に『高配当株投資の方が出口は簡単』説については、

十分に、一考の余地があると思います。

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Source: S&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ
ゆうパパ氏の著書「『ほったらかし投資FIRE』手間なく7年で早期リタイアする「米国株」高配当再投資法」の書評再掲

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