金利の止まらない上昇が、米国株に下落圧力をかける。

投資まとめ

なぜか最近は米国株に楽観的な人が増えている気がします。しかし、株以外に目を向けるととてもまだ楽観視できる状況ではありません。

今は決算シーズンなので気になっている企業の業績を見ていきたいのですが、それ以前に(多少の業績が良かったとしても)米国債と政策金利の動きが株価を大きく引き下げかねないので、国債と政策金利について書いていきます。

この記事のポイント

  • 10年米国債の利回りは4%を超えて上昇している。4.5%も視野に入ってきた。
  • 政策金利予想が引き上げられて、2023年3月には5.00%〜5.25%まで上がるとの予想が主流になり始めた。
  • 10年国債利回りの上昇も、政策金利予想の上昇もどちらも株価を引き下げる力が働いている。

上昇を続ける10年国債利回り


つい数週間前まで「アメリカの10年国債利回りは4%程度が上限で、これから景気が悪くなれば下がる余地のほうが大きい」と私は考えていたのですが、最近では残念ながら4%を超えて推移しています。

国債利回りが高くなると何がまずいのか、いまいちイメージできない人もいるかも知れません。

シンプルにいうなら、国債で高い利回りが得られるなら高いリスクをとって株で投資をする必要はなくなるので、株価が下がります。

バイロン・ウィーン氏が公開している10年国債利回りとS&P500の対応表(下図)を見ると、今後12ヶ月のS&P500の一株利益がアナリストの予想通りの233ドルで10年国債利回り4%と仮定して、S&P500は2270ポイントまで下がりうると出ています。

ちなみに、この記事を書いている時点のS&P500は3695で、2270まで下がるとすると現時点からの下落率は38%になります。

上のモデルは国債利回りによる誤差が大きいので実際に2270ポイントまで下がるかは少々疑問ですが、国債利回りの上昇で株価に下落圧力がかかっていることは間違いないと思っています。

10年国債利回りは4.5%まで上がりうる

以前の私の予想を裏切って4%を超えてしまった10年国債ですが、どこまで上がっていくかを考えると4.5%が一つの節目かも知れません。

10年国債利回りを分解すると「10年間の予想インフレ率」+「実質金利」に分解できますが、「10年の予想インフレ率」はこの1年間くらいは2.5%前後で安定しています。

大きく変化しているのは「実質金利」で、FRBによる大規模な金融緩和が始まった世界金融危機よりも前の水準(2%)を目指して上昇しているように見えます。

それなら「10年間の予想インフレ率(2.5%で安定)」+「実質金利(2.0%目指して上昇中)」なら、合計して4.5%に向かって10年国債利回りが動いていると言えます。

政策金利予想はついに5%台へ

もう一つまずいのは、政策金利予想の上昇が止まらないことです。ついに、2023年3月には5.00%〜5.25%を政策金利まで折り込み始めました。

このインパクトは、配当株を投資している人には強く実感できると思います。

もしも、預金の利息が5%もつくなら、あえてリスクをとって株に投資をするでしょうか。投資をするとしても、株でより大きな配当利回りが得られるようになるまで(株価が大きく下落して配当が預金よりも大きく魅力的に見えるまで)投資を控えるのではないでしょうか。

というわけで、最近の10年国債利回りと政策金利の上昇は、株価に大きな下落圧力をかけていると思っています。

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Source: YUTAの米国株投資
金利の止まらない上昇が、米国株に下落圧力をかける。

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