(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【これまでの米国株式市場】
ウクライナ情勢について考えるに、一旦、これまでの米国株式市場の状況を整理しましょう。
2020年2月19日コロナウイルスによるパンデミックをきっかけに株式市場のは暴落。3月23日に底をつけるまで、S&P500(米国を代表する株価指数)は約34%下落しました。
しかし、3月23日に底をつけて以降、S&P500は大きな下落もなく最高値を更新し続け、今年2022年初にはコロナショックのそこから2倍以上となる4,818をつけるまで上昇しました。
その間、パンデミックによる景気後退や経済へのダメージを回避するため、FRB(米連邦準備理事会)は異例の金融緩和政策を実施。
リセッションの深刻化の回避には成功したものの、徐々に米国のインフレが加速。当初は「一時的」と見られていましたが、米国のインフレは根強く高止まりを続けるようになりました。
変異株やサプライチェーンの問題など、コロナショックによって引き起こされた問題の一部はまだ完全には解決していないものの、米国経済や労働市場が回復してきたこともあり、
FRBはいよいよ3月15、16日のFOMCで利上げを開始し、インフレ退治と金利正常化に向けて動くと見られていました。
米国株式市場は、今年年初に最高値を付けて以降、パウエルFRB議長の利上げを示唆する発言などを受け、株価は軟調となっていました。
そんな中、2月24日に始まったロシアのウクライナ侵攻のニュースを受け、市場はさらに混乱。
S&P500は年初から11.9%下落。(3月10日時点)
コロナショックの影響が残る中、世界の物流網やインフレは、コロナとの二重苦に陥ることとなりました。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【ロシアのウクライナ侵攻が与えた影響】
次にロシアのウクライナ侵攻が市場に与えた影響を整理していきましょう。
市場に与えた最初の影響は原油やコモディティ価格の上昇でした。
ロシアの進攻以降、WTI原油先物の価格は上昇。一時130ドル台をつけました。
現在はUAEが増産を支持することを表明したことで10%程さげましたが、未だ近年では高い水準にあり、今後も予断を許さない状況となっています。
特にエネルギーや食品価格の高騰は、消費者が他のものに費やすお金を奪うため、経済成長に悪影響を与えます。
この直接的および間接的な影響をどうなるか予測したり、数値化するのは非常に難しいものがあります。
米バンガード社の経済チームは、景気後退を招くほど状況が悪化する条件として、「原油価格が数四半期にわたって、1バレル130ドルから150ドルの範囲に上昇」し、「金融環境が広範囲に引き締められる」必要があるとしています。
現状そこまでの事態にはなっていません。
JPモルガンやバークレイズも、世界の成長見通しを約1%下方修正しました。両社はインフレ率は1%上方修正しています。
でも、経済成長率の見通し1%引き下げただけで、「0」や「マイナス」のようなひどい予想でもないと個人的は思っています。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【ロシアの経済制裁の影響】
次はロシアの方を見てみましょう。
ロシアのウクライナ侵攻を受け、米欧日などの先進国はロシアの経済制裁を決定。
日米欧など主要国が「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの銀行を排除すると決定。
現状これは効いていますし、先進国側は、ロシアの出方次第では、更に追加で経済制裁を加える余地を残しています。
ルーブルは年初から対ドルで50%近く下落。株式市場の流動性の問題から、S&Pダウジョーンズ、MSCI、FTSEラッセルは主要株価指数からロシア銘柄を除外すると発表しました。
米国企業等はロシアからの撤退やロシアでの事業停止を決定。
金融環境の悪化、消費者や企業の信頼低下、不確実性の高まりなど様々な影響がでています。
さて、そんなロシア経済、財政の状況を計るうえで、わかりやすい指標が、ロシア国債のクレジットデフォルトスワップ(CDS)です。
ロシア国債が債務不履行(デフォルト)に陥るリスクについて表しています。
ICEデータ・サービシズによると、ロシア国債のCDSは1年以内のデフォルト確率を71%、5年以内では81%と示唆してます。
(日経新聞より)
米国にとってロシア経済の存在は小さく、例えば、ロシア向け輸出は全体の0.3%、輸入は0.7%を占めるに過ぎません。
ロシア国債や株式などを保有する投資家や企業には一定程度の損失が生じ、それが経営問題へと発展する可能性は考えられます。
しかし、それだけで、リーマンショック以降、ストレステストなどに取り組んできた世界の金融市場が危機的状況に陥るとは考え難いものがあります。
また、高いインフレを潰すために、各国の中央銀行がより早く大きな利上げをする必要に迫られ、それが景気後退を招くのではとの懸念もあります。
過度な心配も禁物ですが、油断せず、状況を見守ることが大切です。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【慌てないことが大切】
ウクライナのゼレンスキー大統領は、NATOの加盟を断念するなど妥協の姿勢も見せ、停戦に向けた交渉が進んでいます。
具体的な内容は不明ですが、プーチン氏11日、ベラルーシのルカシェンコ大統領との会談の際、停戦交渉に関し「幾つかの前向きな進展があった」と発言しています。
ことの他、早く解決する可能性もありますし、泥沼化するかもしれません。
ロシアの短期間で制圧できるという見通しが外れたように、当事者同士でもどうころぶかわからないのが現状だともいます。
プーチン氏がジュネーブ条約をやぶり原発を攻撃したように、より国際法や人道を無視した行為に及ぶリスクは一定程度あります。そうなればより一層市場は混乱するでしょう。
そのシナリオは排除できないものの、ロシアの侵攻が始まってからの約20日間で、株価や原油価格はある程度現在状況と今後のある程度のシナリオを織り込みつつあり、下げの鈍化や反発する場面もありました。
現在の状況が短期間で解決すれば当然市場の懸念は晴れますし、長期的に泥沼化しても、余程のことがない限りは、市場はFOMCの利上げや企業の業績など、今後の違う材料を織り込んでいくと個人的には思います。
過去60年間の地政学的イベントを検証してみると、株式市場は最初のニュースにネガティブに反応することがあるものの、地政学的な売りは通常短期間で終わり、その後の12ヶ月間のリターンは長期平均リターンとほぼ同じであったということがバンガードの調査でわかっています。
http://etfsp500.com/archives/30005886.html
また、原油価格の高騰が世界の成長に打撃を与えたのはこれが初めてではありません。
1973~74年、1978年、2007~2008年の原油価格の倍増は世界経済の破綻を予感させました。
しかし、それらを乗り越え、世界経済と市場は今日まで成長を続けてきました。
また、1998年のロシア通貨危機とは全く異なる形ではありますが、
1998年にロシアがデフォルトして以降、短期的な混乱はあったものの、その後20年で何度世界や米国の株式市場が最高値を更新してきたでしょうか?
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
【感想】
FOMCやインフレやロシアの侵攻を受けても、
過去1年間のS&P500ETF(VOO)のトータルリターンは9.6%(ドルベース)ですし、
株価は昨年の5~6月の水準に戻った程度で、大暴落とか市場崩壊といったレベルとはほどとおいということがわかります。
S&P500に投資をしていれば10%程度の下落はよくあることですし、(数年に一度くらい)
過去5年のチャートを見ても、
この程度の株式市場の下落は大したことがないことがわかります。
バリュエーションがある程度改善された今、もしくはパニックにより株価のリスクプレミアムが上昇するかもしれない今、投資する方が、長期的なリターンは良くなるかもしれません。
過去人間は多くの戦争や紛争や争いを繰り返してきました。しかし、その悲劇から何度も人間は立ち直り今日まで、成長と発展を遂げてきまいた。
3.11の大震災も、2年前の未知のウイルスのパンデミックも、日本や人類に大きな傷を残しました。
取り返しのつかないこともたくさんありましたが、それでも人類は「今」を一生懸命「未来」に向かって生きています。
私はこの人類の困難を乗り越え、前へと進み続ける力を信じ、これからも投資を続けていきたいと思います。
いつもありがとうございます。
もしよかったら、応援クリックよろしくお願いします。
米国株ランキング
上の応援ボタン2つをクリック頂けると、
ものすごくありがたいです。毎日記事を書く励みになります。
Amazon「【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術」
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
Source: S&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ
【投資をやめないでください】ロシアのウクライナ侵攻を受けて、心配な方へ。【現状を整理してみた】