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【今後のFRBの利上げについて】
債券や金、仮想通貨など多くの資産価格に影響を及ぼすため、
今後FRBがどのような政策をとるのか。
それによってインフレや景気後退は起こり得るのか。
米国株投資家を始め、多くの投資家が気になるところだと思います。
そこで、今回は、FRBの政策決定について、
米バンガードのおもしろい研究を紹介したいと思います。
【テイラー・ルール】
皆様はテイラー・ルールというものをご存知でしょうか?
1993年にアメリカの経済学者ジョン・ブライアン・テイラーが提唱した金融政策ルールの1つであり、
インフレ率やGDPギャップ(実際のGDPと潜在的GDPの差)などの経済変数の変化に対し、政策金利をどの水準に設定すればよいかを示した関係式である。
記式は、インフレ率πが目標インフレ率π*を上回るとき、また、実際のGDPが潜在的GDPを上回りGDPギャップが正の値をとるとき、政策金利を引き上げることを意味する。
α1、α2は、それぞれ、インフレ率ギャップとGDPギャップに対し、どの程度、政策金利を反応させるかを表すパラメータである。
テイラー・ルールの定式化には、様々な拡張がある。
例えば、短期金利の急激かつ大幅な変更は、金融システムや金融機関の経営に大きな衝撃を与える恐れがあるため、政策金利は平準化(スムージング)されることが望ましい。この場合、テイラー・ルールは、例えば、it=γ1it-1+γ2{r ̅ +α1(πt-π*)+α2ytと拡張される。
今回紹介するバンガードの研究は、このテイラー・ルールをベースに、テイラー・ルール・モデルと更に実際のFRBの政策とのギャップを埋め、予測の精度を高めようというものです。
【バンガードの見解】
ただ、米バンガードは伝統的なテイラー・ルール・モデルでは、実際のFRBの金融政策行動を予想することは難しいとしており、
機械学習によって拡張されたテイラー・ルールにマクロ変数と市場変数を追加することで、予測能力が向上し、様々な経済シナリオのもので、FRBの金融政策行動の予測に役立つとしています。
オレンジ 伝統的なテイラー・ルール
灰色 拡張したテイラー・ルール・モデル
緑 実際
【バンガードのモデル】
FRBは物価の安定と持続可能な雇用の最大化という2つの使命を担っています。
バンガードは、最小二乗法(OLS)と機械学習、2つのモデリング手法を用いて、FFレートの予測を行いました。
しかし、インフレ率と失業率という2つのマクロ変数を用いると、どちらのモデルでも、信用性の低い推定値しか得られませんでした。
そこでバンガードは戦略を変更し、他のマクロ変数と市場変数をテストしました。
そうすると、過程は長くなるので省きますが、以下のようなモデルと、及び結論に落ち着きました。
補足①
〇Inflation U.S. CPI—all items less food and energy U.S. PPI
〇Proxy of global market S&P GSCI Commodity Total Return Index
〇Labor market U.S. unemployment rate
結論)バンガード『今回の結果は、金融政策の推進におけるインフレ率と失業率の重要性を補強するものであるが、それに加えて、経済の金融状況を捉える様々な追加指標の重要性も浮き彫りにしている』
図3に示すように、金融政策決定における重要度は、インフレ率は42%、金融情勢は約31%、世界情勢は約15%、失業率は約13%であった。
意訳)FRBの今後の政策において、インフレと失業率は重要だが、金融情勢や世界情勢が影響を与える面も大きい。
【次回へ続く】
昨年紹介した通り、昨年時点で、バンガードは利上げの最終到達地点は3%を超える可能性があると指摘し、市場はそれを過小評価していると主張してきました。
今年に入り、市場の過小評価が浮き彫りとなり、また最近になり、市場は6.7月に加えて9月の0.5%の利上げを織り込み、年内に政策金利が3%を上回るのではとの意見が市場でも広がってきました。
もちろん、今後どうなるかはわかりませんが、今回の利上げ局面では他社の予想よりもバンガードのモデルの方に軍配があがりました。
アクティブに投資をしている方は、ただ単にニュースや予想を見るのではなく、補足①にある4点とそれぞれのバランスに注目してみるのも良いかと思います。
さて、長くなったので、今回は一旦ここで示させていただきます。
もし需要があれば、②FRBの今後の政策について③景気後退の可能性。
この2点のバンガードのレポートを紹介していきたいと思います。
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Source: S&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ
【バンガードのFRBについての研究】FRBの今後利上げについて、予測することは可能か?インフレと失業率だけでは不十分【FOMC】