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【米国10年債利回りが上昇する場面の各資産のリターン】
※JPモルガンアセットマネジメントのレポートより参照
2022年3月末時点から過去5年と対象とした期間が短く、
過去5年と今後の市場環境は大きく変わることが予想されていることから、
未来を見通すという意味では、
個人的にはほとんど参考にならないと思います。
ただ、過去から投資の基本を学ぶという意味ではいくつか役に立つ項目もあります。
例えば、過去5年間のグロース株のリターンを見ると、
ゆっくり債券利回りが上がる際は、株価への影響はあまりないが、
急激に上昇するような時は株価が下がる。
という教科書どおりのな反応を示していたことも伺えます。
セクターに関しては、まあまあスタンダードな結果なものの、
コロナ後のサプライチェーンの問題、ウクライナ情勢による原油高、インフレなど、債券利回りの上昇以外の要因の影響もあると思われますので、よく考えて読み解くことが大切だと思います。
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【生活必需品と公益が振るわず?】
個人的には、バリュー株や高配当株はプラスなのに、
生活必需品や公益がマイナスやリターンがイマイチ振るわなかったという点が、
おもしろいなと感じました。
私はこの結果を見て、1963年~2014年を対象に行った、
ジャンとソンの(2015)論文の内容がふと思い浮かびました。
補足(ジャンとソンの(2015)論文)
ジャンとソンは伝統的なファイナンス理論とは逆に「高配当株は長期債の利回りが増大するとリターンが減少し、低配当株は金利があがるとより高いリターンをもたらす傾向があった」ということを示しました。
例)検証期間において金利が1%下落すると、高配当株のリターンは1.35%上昇し、低配当株は1.12%下落する傾向がありました。
この研究の中で、ジャンとソンは機関投資家は高配当株を避ける傾向にあることを発見しました。
一般的によく言われる、「高配当株を好むのは個人投資家だ」という意見とも一致しますね。
また、機関投資家は、金利が高いと高配当株をアンダーウェイトし、金利が低いと高配当株をオーバーウェイトするという傾向もこの論文の中で指摘されています。
【機関投資家と高配当株】
ジャンとソンは、金利が高い環境下(長期金利が高かった上位20%の四半期)において、
銀行、保険会社、年金基金、寄付基金、投資信託、投資顧問など、検証した全ての種類の機関投資家が、高配当株を市場よりもアンダーウェイトする傾向にあったことを発見しています。
一方で、金利が低い環境下(長期金利の低かった20%の四半期)では、機関投資家の高配当株を避けようとする傾向は弱まり、投資信託や保険会社は市場よりも高配当株をオーバーウェイトする傾向にありました。
また、別の研究では、2008年の不況以降、安全な債券の利回りが低くすぎたことで、疑似債券として有配株へとシフトする動きがありました。
逆に、金利や債券利回りが上昇すれば、疑似債券(インカム源)として買われていた、高配当株が売られても不思議ではありません。
そういう銘柄はおそらく、生活必需品や公益セクターに多くあるでしょう。
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【まとめと感想】
過去、金利上昇やインフレに、バリュー株は強い傾向がありました。
その一方で、上記のようなデータや研究もあることから、安易に「金利上昇局面=高配当銘柄の高リターン」と決めつけない方がよいと私は思います。
バリュー株や(高/低)配当株にもたくさんの種類があります。
また、景気の好不調とそのそれぞれの前期や後期でもまた異なる傾向が見られたりします。
特に初心者の方は、SNSやニュースで流れてきた情報や戦略にすぐ飛びつく前に、
本当にその情報は正しいのか。異なる意見や反論はないのか。
しっかりと精査して投資判断をすることが大切です。
『生兵法は大怪我のもと』という言葉もありますが、
中途半端な知識で色気を出した時ほど危ないものはありません。
長くなりましたが、
真剣に資産を形成したい。投資リターンをあげたいというのであれば、
「金利上昇=高配当株」とか「高配当株がいい」と思考静止せず、
仮にインカムが欲しいという方でも不動産や債券、今は低配当だけど収益性の高い増配株、米国以外の日米の高配当株など、その目的を達成するための手段や戦略はたくさんあります。
いろいろ調べ、徹底的に考えて、自分の人生や目的にとって、最も合理的な投資判断することが大切だと思います。
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Source: S&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ
『今、高配当株に投資すべし!』という意見に飛びつく前に考えて欲しいこと。