【VOOとVTIどっちがいい?】VTIでは小型株効果による追加リターンは十分狙う事ができない説【S&P500 比較】

投資まとめ

米国小型の基礎知識

本題に入る前に、

米国小型株について振り返りたいと思います。

米国の小型株の年平均リターンは、

米国の大型株より大きいとされています。

例えば、1927~2015年の間、

米国小型株は大型株に比べ、年率3.3%ほど高いリターンを残しました。

(CRSPインデックスの第6~10分位に属する銘柄を小型株。第1~第5分位に属する銘柄を大型株と定義)


米国の小型株が市場を上回る確率(1927~2015年)

1年  59%
3年  66%
5年  70%
10年   77%
20年   86%

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米国小型株のリスクについて

一方で、小型株はボラティリティが高いという特徴もあります。

1927年~2015年の

小型株の標準偏差は約30%でした。(米大型株は約20%程)

米国市場が下落した時の過去のデータを振り返ると

1931年(大恐慌中の最も大きな下落をみせた年)

小型 ー50.2%(大型 -43.3%)

1973~74年の不況時 

小型 ー53.1%(大型 -39.2%)

2008年 サブプライム危機

小型 ー38.7%(大型 -36.5)

と下落に弱い一面もあります。

これらの点から小型株のプレミアムは、

経済のサイクルやリスクに対する補償だという意見もあります。

コスト・流動性、実際の取引に関する問題。

以前は、米国小型株は流動性に乏しく、

取引コストが高くなる等の指摘もありましたが、

現在では、インデックスファンドを使えば、低コストで取引できるようになりました。

米国の小型株全体に投資をする、

「バンガード・スモールキャップETF」の経費率は年率0.05%となっています。

また、マネックス証券などの、

ネット証券は米小型株の取扱銘柄も積極的に増やしています。

情報の入手の難しさなどの課題もありますが、

日本在住の日本人投資家でも、取引しやすい環境は整ってきたと思います。

シーゲル教授の研究
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画像は株式投資 第4版 より引用。(1926~2006年まで)

画像のように、

シーゲル教授も小型株ついては避ける理由はないとしています。

ただ、

〇第二次世界大戦~1960年までは、小型株が大型株を上回る事は一度もなかった。

1975~83年の9年間を除くと、大型株の利回りとほぼ同等になる。

〇2000~06年の期間は小型株が目覚ましい利益をあげた。(このデータは06年まで)

という点には注意が必要です。


「1926~2006年のリターン」

S&P500 10.26% 小型株 12.21%

「うち、75~83年を除いた場合」

S&P500 9.56% 小型株 9.61%

と、たった0.05%しか違わなかったことに注目です。

また、シーゲル教授のデータの後の

2007~19年12月までの間の成績は、

S&P500 8.68% 小型株 8.53%となっています。

(対応する、バンガードのインデックスファンドの成績により検証)

小型株プレミアムは確かに存在するが・・・

理由は諸説ありますが、小型株プレミアムは確かに存在すると思います。

ただ、

毎年毎年、必ずS&P500や市場平均を上回るというようなものでもないし、

10年以上に渡り、市場平均やS&P500をアンダーパフォーマンスしたこともあります。

また、小型株の方が倒産確率が高いため、生存バイアスについても指摘する意見もあり。

これらの点は注意すべきだと思います。

以上が、米国小型株について簡単な説明となります。

注)決して小型株投資を否定しているわけではありませんのでどうかご理解を。


恥ずかしながら、昔、一時期プロに打ち勝ち市場平均を上回るなら「日本の中小型株」だと真剣に思っていた時期もあるくらいです(笑)

バフェットも初期の頃は小型株で資産築きました。

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小型株がないからといって、S&P500を嫌いにはなれない。

私は「小型株がない」からといって、S&P500指数を嫌いになれません。

(あくまで個人の感想です)

00

(1985~2019年末)

バンガード社のインデックスファンドでの比較。

S&P500インデックスファンド
Vanguard Small Cap Index 

データを調べるうえで、切り取る期間には注意すべきだとも思います。

VTIでは小型株プレミアムを狙う事はできない。

さて、ここからが本題です。

VTIは、小型株を含む米国株式市場全体に幅広く分散投資をすることができます。

素晴らしいETFです。

ただ、VTIでは「市場平均」≒「S&P500」との相関が高すぎて、

小型株による「追加リターン」つまり「サイズプレミアム」を狙う事はできない。

というのが私の持論です。

決して、VTIが悪いと言っているのではありません。

(本当にVTI,VOOはどっちでもいい、どっちも良いETFだと思います)

VTI・VOO・VB(小型株)の比較チャート

1993年1月~2019年12月
00

青  VTI       1.00
赤  VOO       0.99
黄色 VB(小型株)   0.90

設定前のリターンはそれぞれに対応するバンガードのインデックスファンドのものを採用。

数字は米国マーケットとの相関です。

ご覧の通り、VTIとVOOは、ほぼ完全相関といって良いでしょう。

(1926~2016年の長期の相関も0.99とほぼ完全相関です)

「米国市場平均≒VTI≒VOO」となります。

つまり、VTI程度の小型株の比率では、

市場平均やS&P500のリターンに加えて、

「小型株のプレミアム(追加リターン)」を狙えるほどの影響を、

実際には、投資家にほとんど与えることがないという事がわかります。

小型株による「追加リターン」を狙うには、

ポートフォリオにより小型株を加えて

時価総額加重のインデックス/市場平均(VTI≒VOO)から、ある程度逸脱する必要があります。

参考① 小型バリュー株  

1999年1月~2019年12月
00
  VTI   1.00  7.07%
黄色 VB    0.90  9.09%
赤  VBR    0.88  9.40% (米小型バリュー株ETF)

左 米国株式市場との相関
右 年率リターン

小型バリュー株のリターンは過去高い傾向があった。(半面市場平均からはより逸脱する)

参考② VTIと「VTI+VB 50:50」のポートフォリオの比較

1993年1月~2019年12月のチャート
00

ポートフォリオ ① VTI 100%
ポートフォリオ ② VTI 50% VB 50%

年率平均 ①9.74%  ②10.00%
標準偏差 ①14.53%   ②15.97%
市場との相関 1.00   0.97

VBの比率を高めると、この期間のトータルリターンは上がります。

以下、同じポートフォリオで期間ごとの検証

〇1993~1999のチャート 
00

小型株よりVTIの方が成績が良かった。

(VBを入れれば入れるほどアンダーパフォーマンスする)

〇2007年~2019年 
00

小型株を多く含む②が若干上回る時期が続いたものの

現時点での成績はVTIとほぼ変わらない(若干VTIが高い。)

一番上長期チャートで、小型株の成績がややいいのは、2000~06年に小型株が目覚ましい成績をあげた時期ある影響が大きいと思います。

まとめ

個人的には思う点もあるものの、

確かに過去の長期データでは小型株は、

「市場平均≒VTI≒VOO」を上回ってきました。

ただ、VTIでは小型株の比率が低いため

小型株の追加リターンを本当に得たいのなら、

よりポートフォリオに小型株を加える必要があると思います。

1975~83年の9年間や2000~06年のように、

小型株が市場平均を大きく上回る期間をまた迎えることができれば、そういうポートフォリオは花開くかもしれません。

が、リスクもあります。

(10年以上の単位でも)市場平均を上回ることもあれば、下回る事もあります。

市場平均から逸脱し、この追加リターンを狙うかどうかの判断は各々に任せます。

私は積極的に勧めようとは特に思いません。

また過去の成績が将来を保証するものではありません。

長々と書きましたが今回の結論はシンプルです。

VTIは小型株を含む→小型株は過去市場平均を上回ってきた

→「だから」S&P500よりよい成績になる

私はこの説に少し疑問があるわけです。

VTIでは結局の小型株の占める割合が小さいので、S&P500指数と長期的な相関はほぼ同じ

つまり、「長期的なリターンもほぼ変わらない」可能性が高いと思います。

まあ、この段落に関しては、

あくまでも私個人の考えだと思ってください。

こういう意見もあるんだな、程度に聞いてくれて構いません。

(全然同意しなくても大丈夫です)

今日は長くなりましたが、

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Source: S&P500ETF(VOO)に投資するりんりのブログ
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